経営コンサルと経営企画の本質的な違い
経営コンサルティング業務と経営企画業務、つまり経営コンサルタントと経営企画職ですが、この二つの仕事は似ているようで全く違います。
同じような仕事だと誤解している人もいるかもしれませんが、この二つの仕事、二つの職業は本質的には全く違います。
ここではその違いについて解説したいと思います。
どちらも会社や組織の「経営」に関する仕事である点は同じです。両者とも文字通り、経営者に対してその組織の経営に関する情報の調査・分析・提供、それらの情報に基づく必要に応じた助言や提案、を行う仕事になります。
また、仕事の内容からもわかる通り、仕事に求められる素養も同じです。論理的思考力、その思考に基づく文章や資料作成能力、そしてそれを口頭で説明できるプレゼンテーション能力、といったものです。(勿論知識欲やコミュニケーション能力なども他の職業同様求められます。)
しかし、これらは外形的に同一に見えるだけで、本質的には全く違います。
経営コンサルタントはあくまで外部支援者です。彼らにとっては経営者・組織はあくまで依頼者・顧客(クライアント)で、その組織の当事者ではありません。
一方、経営企画職はその組織に所属している内部関係者であり当事者です。
つまり、情報の調査・分析・提供、助言、提案の内容について、経営コンサルタントは当事者としての責任を負うことはありません。それらをもとに実行(経営)するかどうかを決めるのはクライアントである経営者であって、そしてそれを実行した結果に対する責任(業績悪化など)を負うのもクライアントである経営者であり組織だからです。
反対に経営企画職は、自身が提供・助言・提案した内容に対し当事者として必然的に責任を負うことになります(業績悪化による給与削減など)。
極端な言い方をすれば、自身の業務の結果に対して”知らんぷりできる”のが経営コンサルタントで、”知らんぷりできない”のが経営企画職ということになります。
当事者意識の有無あるいは組織の一員であるかそうでないか。これらの違いは業務の本質的な立ち位置を大きく変えます。
経営コンサルタントは外部関係者だからこそ客観的・先鋭的に言えることがあったり取れる情報があったりする一方、組織内のしがらみや人脈・文化への理解が不十分であるため、提案内容等について具体性や実効性に乏しかったりするケースが往々にしてあります。
経営企画職は反対に組織内のしがらみや人間関係などから客観的・先鋭的な業務遂行が難しい一方、組織のことを理解した具体性・実効性のある提案等が可能になります。
このような本質的な違いを理解したうえで、経営者には両者を使い分けることが求められますし、これらの仕事に従事している人には職責を果たすことが求められます。